2010年12月18日

読書ノート、ふたたび。椎名誠「犬の系譜」


■タイトル:「犬の系譜」(講談社文庫)
■著者:椎名誠
■ISBN:4061848348
■読書期間:2010/7/5〜2010/7/9
■抜書き:ミミズ より

 夏休みの間中は三十日間続く小学校の早朝ラジオ体操が
あって、私と弟は毎朝六時に家を出ました。
 そして時おり気まぐれに中学生の洋平君が一緒について
きました。
 わたしたちは出席の印を押してもらう紐つきのカードを
肩からかけ、まだ相当にねむい眼をこすりながら小学校に
むかうのです。

 小学校までの道は砂と土のところが多く、五十メートル
ほどの距離で赤松が道の左右から覆いかぶさっているとこ
ろは、砂の道の上に太くて長いミミズが何匹ものたくって
ました。
 ミミズたちは夜中かかって道の端から端まで横断してい
るらしく、竹の先でのそのそ引っ?いたような筋跡がいく
つも残っていました。
 わたしたちが通るときにまだ道にいるのは、どうもその
夜更けの横断に出遅れたか、あるいはノロマな落ちこぼれ、
といった連中らしく、もうじきやってくる朝陽の照射にお
びえて早くも全身でぐったりしている、というふうに見え
ました。


■長い長いワンセンテンス〜夢で遭いましょう

 子供心に"長く長く"感じられる夏休みの、朝のラジオ体
操。なんと郷愁を誘う響きであろうか。
 シーナ少年の過ごした夏休みは昭和30年代前半の千葉
のもの。一方の読者はそれぞれ千差万別だ。私は静岡の同
40年代後半から50年代前半の、自分が過ごした時間の
それと対比させた。
 シーナ少年の時代には、ミミズは土埃の舞う道を横断し
ていて、私の頃には静岡でももうアスファルトの上で彼ら
はのたくっていたりした。
 ちょうど私が静岡に転校したあとぐらいに、雨上がりの
翌日、道の窪みに溜まった即席の小池は姿を消し、アスフ
ァルト道路になっていった。近所でそのための道路工事が
頻繁に行なわれ、工事箇所を縫うように自転車を走らせ、
新しい友達の家へ遊びにいった記憶があるからだ。

 それから私達の学区では、近隣と云っても通学に小1時
間はかかる区域から通っていた子供もいたから、学校では
なく各町内ごとにラジオ体操をしていたな。
 紐付きの出席カードにハンコを押して貰うことは嬉しか
ったが、高学年になって自分がそれを押す立場になると、
とたんに面倒臭く感じたりもした。
 そうそう、カードは右上にパンチで穴が開いており、そ
こに紐を通すのだが、ひと夏に何回もその穴が千切れてし
まったものだ。当時の男の子はだいたいそういう経験をし
ていると思う。

 この小説は主人公(子供)の目を通した、一家の変遷を描
いているが、そこで重要な役割を担っているのがその時々
に飼われていた犬とのエピソード。
 私の家で犬を飼っていたのはたった1回きり。でも、私
は今でもグシケン(犬の名前)が好きだし、当時撮った彼の
写真(高校時分に引き伸ばした)を大事に持っている。
 マメに散歩に連れていったり甲斐甲斐しく世話をしてあ
げた訳ではないのだが、早朝マラソンをしている時、偶然
彼と出会い、そのまま飼ってあげたことをグシケンはちゃ
んと覚えていてくれ、家族の中では一番私になついてくれ
た。
 彼がウチの家族であった期間はたったの4年間。
 小学5年の3月から中学を卒業する直前までの、今でも
私の心の温かい場所にいてくれる。
 無条件で自分のことを受け入れてくれていた、と後から
気づいたからだ。
 また、夢で遭いたいよね、グシケン。
  

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読書ノート、ふたたび。: http://onlykiwi.seesaa.net/

読んだ本の題名と作者、それから読んでいた期間と出版元。
 このたった4つの情報を記しただけの簡単なメモ的なもの
が、ボクがかつて付けていた「読書ノート」の全容だ。

 いつの頃からか、せっかくの読書ノートをつけるのをやめ
てしまった。
 本を読むたびに、ああ、なんて思うこともあり、じゃあと
いう訳でふたたびつけだそうと思いたった。

 できれば、その読書ノートをつけることを勧めてくれた
きみこ先生に読んでもらいたくもある。

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*読書ノートの索引はこちら

  http://onlykiwi.seesaa.net/category/6437306-3.html


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posted by onlykiwi at 16:05| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書ノート、ふたたび | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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