2010年12月04日

読書ノート、ふたたび。佐藤多佳子「サマータイム」


■タイトル:「サマータイム」(新潮文庫)
■著者:佐藤多佳子
■ISBN:9784101237329
■読書期間:2010/6/21〜2010/6/22
■抜書き:九月の雨 より

 土曜の昼下がり、種田一郎が、前触れもなく、いきなり家
を訪ねてきた。彼は一緒に母さんのライブを聴きに行かない
かと俺を誘ったのだ。

「京都まで行くんですか?これから?」
「新幹線で行けば十分、間に合うよ」

 そりゃ、そうだけどさ。誰も東京から東海道本線で行くと
は思わないけどさ。

「一緒に行きたいんだ。行ってくれないか。友子さんのス
テージを見るのは、これで最後にしようと思うんでね」
「え?どうして?」
「君たちと−君と友子さんと仲良くなりたかった。でも、
どうも、うまくやれない。ぼくは、どうも、どうやった
らいいのか、よくわからない。それで・・・」
「あきらめる?」
「なあ、広一くん」

 俺たちは狭い玄関でしゃべっていたのだが、種田はまだ
閉めたドアのノブを後ろ手に握ったまま、じっと俺の顔を
見つめた。

「なあ、広一くん。そんなに冷めた言葉ばかり使わない
  ほうがいい」
「冷めた言葉?」
「君は正直にしゃべらない分、とても正直な目をしてい
  る。口に出して、バカだキライだと言ったほうが、自
  分のためだ。君はまだ十六で四十六じゃないんだから」
「でも、正直に言わなくても、あなたみたいに察しがい
  いと、あきらめてくれるでしょう」

 俺はそう言った後、さすがにかすかな自己嫌悪にかられ
た。それは、胸がすっぱくなるような寂しさに似ている。
 高原のバーで種田と一緒に母さんのピアノを聴いていた
時にふと感じた寂しさ。


■長い長いワンセンテンス〜ジャズのサマータイム

 この秋にTV東京系の「アド街ック天国」で取り上げら
れたから、知っている方は知っていると思うのだが、大井
町には昭和の佇まいが色濃く残る東小路、平和小路という
飲食店街がある。
 古くからの飲食店街なので、昔ながらの食堂やラーメン
屋、一杯飲み屋が軒を連ねている。
 ま、最近は新しいお店も出店したりしているのだが。

 平和小路のドンつきには「むら上」という串で鰻を食べ
させてくれる立ち飲み屋があった。
 今は代が変わり、新しくリニューアルされている。

 その「むら上」に行き着く手前の細い路地の更に細い
道を左に曲がり、ほとんど見落としてしまいそうな場所
に店を構えているスタンディングバーがある。
 私がいつも見落としていたその店にフラリと立ち寄っ
たのはこの夏だった。
 シングルモルトとビールを愛する店長がこじんまりと
やっている店である。
 リクエストすると古いレコードをかけてくれるのが、
とても気に入って、それから何回か訪れた。
 と、いって、私は店の売りである"ジャズ"に詳しい訳
ではないのであるが。 

 ちょうどこの本を読んだ後だったこともあり、私は
「じゃ、聞いたことないんだけど、『サマータイム』を」
とリクエストしてみた。
 するとマスターは「何枚かあるけど、どうします?」と
聞いてくる。
 素直に告白しているので、どれにすると問われても困る。
「マスターの好きなやつでいいですよ」と答えた。
「じゃ、まずボーカルつき、そのあとインストで」

 正直なところ、私が佐藤多佳子の「サマータイム」から
イメージしていた曲調と、実際の「サマータイム」は大き
く隔たりがあったのだが、ああ、こういう曲だったのかと
知っただけでも収穫といえば、収穫であった。
 私は夏らしく明るい旋律をイメージしていたのだが、ま、
よく考えてみればジャズだからね。
 しっかり、ジャズしてましたよ。はい。

 因みに店の名前は「IMPRO.」と言います。

 ご興味、といっても店の雰囲気のことは余り触れてま
せんが、ご興味を持たれたら、足を運んでみてください。
 日・祝日はお休みです。


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読書ノート、ふたたび。: http://onlykiwi.seesaa.net/

読んだ本の題名と作者、それから読んでいた期間と出版元。
 このたった4つの情報を記しただけの簡単なメモ的なもの
が、ボクがかつて付けていた「読書ノート」の全容だ。

 いつの頃からか、せっかくの読書ノートをつけるのをやめ
てしまった。
 本を読むたびに、ああ、なんて思うこともあり、じゃあと
いう訳でふたたびつけだそうと思いたった。

 できれば、その読書ノートをつけることを勧めてくれた
きみこ先生に読んでもらいたくもある。

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*読書ノートの索引はこちら

  http://onlykiwi.seesaa.net/category/6437306-3.html


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