2010年11月07日

読書ノート、ふたたび。佐藤多佳子「一瞬の風になれ 第二部」


■タイトル:「一瞬の風になれ 第二部」(講談社)
■著者:佐藤多佳子
■ISBN:4062136058
■読書期間:2010/6/1〜2010/6/2
■抜書き:第二 先輩、後輩 1インターハイ予選<地区> より

「神谷先輩はザバスですか?よう飲めますねえ。あれは粉
っぽくてきついわ。まあ、国産のホエイであの安さはごっ
つう魅力やねんけど。ウイダーやDNSのほうが味はいけま
すね。でも、プロテインは海外からチョクに買(こ)うたほう
がええですよ。だんぜん安いし、うまい」

 今日は本格的な雨なので、短距離はウェイト・ルームで練
習している。
 マシンが空くのを待っている間に、大阪出身の新入部員の
桃内が熱弁をふるっている。

「チャンピオンがいけますよ。飲んだことあります?味濃
いィですけどね、甘いのが好きならめっちゃいけます。前に
あべかわで食おう思て餅焼いてから、きなこがないのに気づ
いて、プロテインつけて食うたことあるんですよ。チャンピ
オンのチョコとバナナクリームね。これがいけましたよ」

 うっかり想像しちまってゲエッてなりそうになった。

「俺、自分のHPを持ってるんですよ。アクセス・ボディー
ゆうサイトでね、身体や健康やスポーツについて研究したり
語り合ったりしてます。そこのBBSの常連の人たちとアメ
リカからプロテインを共同購入してて、ええもんが安く手に
入るんです。ゆうてくれたら、なんぼでも買いますから。一
ノ瀬先輩っ」

 そこにいるにはいるが、明らかに話を聞いていない連に桃
内は大声で呼びかけた。

「先輩、プロテイン飲まなあかんやないですか。先輩はも
っと身体を大事にせなあかんわ。黄金の身体やのに。自覚
してください。先輩ようけ食べられへんのやから、プロテイ
ンでタンパク質を取らないと。飲んでくださいよ。俺、学校
持ってきますから。練習のあとに飲みましょうよ。チャンピ
オンやったら水でもうまいから」

 早口でまくしたてられて、連はポカンとしている。

「明日持ってきますわ。チョコとバナナとストロベリーと
バニラとその味が好きですか?」
「いらねえ」

 連が急に我に返ったように拒否した。

「飲んでくださいよ。もう、先生にOKもらいました。がん
がん飲ますように言うてはりました」

 二人のやりとりに、浦木さんがプレート腹筋をやりながら
笑っていた。根岸もレッグカールの台に寝そべってニヤつい
ている。

「いらねえって。金ないし」

 連があくまで断るのを、

「大丈夫です。スポンサーがいてます。先輩のおばあさん
です」
「はあ?ばあちゃん?」

 連はまたポカンとした。勝負あったという感じだった。
先生はわかるけど、連の家の人にまで話をつけてしまう情熱
はハンパじゃない。おせっかいの域を越えている。


■長い長いワンセンテンス〜作中人物のイメージと体育の思い出

 この小説は実写(ドラマ)向きではなくマンガ向きだなと読
みながら思っていた。
 前回書いたが、原作を元にしドラマ化されたことを知って
いたからだ。
 ドラマにしても、マンガにしても、その元の小説が素晴ら
しいから、新しい表現分野の主に相当の力量がないと原作に
負けてしまう。なかなか分の悪い勝負のような気がした。

 と、調べたらマンガ化もされていた。

 小説に出てくる登場人物に対するイメージはそれを読む人
それぞれの中で持つ。
 私はなぜか、この作中での人物2人にマンガで描かれたキ
ャラクターを想像してしまった。
 それは抜きだした後輩スプリンター:桃内と陸上部顧問の
みっちゃん(三輪先生)である。

 桃内は『ラヴァーズ・キス』(吉田秋生)のオオサカ=緒方
篤志。みっちゃんは『翔んだカップル』(柳沢きみお)の和田
先生。
 前者は大阪出身、陸上をやっていたという共通点、後者は
天然パーマの先生で単純にイメージを結び付けてしまった。
 和田先生って天パーだと記憶してるんだけど、間違ってた
ら恥ずかしいな。

 現役時代、私はプロテインなんて飲んでいなかった。
 地道に腕立て、腹筋、背筋、ウェイトトレーニングで筋肉
増強に励んでいたのである。
 ま、プロテインだけ飲んでりゃいいというものではないか
ら、かの飲み物は元々補助的な役廻りのハズだ。

 高校2年の冬のトレーニングはその秋の結果が惨憺たるも
のだったから、実に前向きに励んだものだ。
 朝練の限られた時間の中でハードに筋トレをした。
 腕立て、腹筋、背筋、各80回×3セット、バーベルを担
いで跳び箱2段分の昇り降り等々。
 余りに追い込みすぎて、2時限あたりに体育があると、ま
だヘロヘロ状態であった。
 別に体育の時間の運動量なんて大したことないだろ?と思
われる方が大半であろう。が、我が母校はバカみたいに体育
で生徒を追い込むのである。

 例えば、実技がバレーだとする。普通なら準備体操をやっ
てすぐにゲームをするはずだ。あるいはその前に軽くトスだ
とか、スパイクの練習をやってからとか。
 ところが、ウチの学校だとバレーに入る前に、腕立て、腹
筋、背筋、ダッシュをしてからやっとバレーをするのである。
そして、めったにゲームなどしない。基本練習ばかりである。
こんな授業、面白い訳がない。
 あるいは水泳。今思い返してもアホなんじゃないかと思う
のだが、水着で腕立て、腹筋、背筋、ダッシュをしてから、
やっとプールに行くのである。
 あまつさえ、その時間帯に他の学年とプールを共有する場
合は先に泳いでから(無論、泳ぎのダッシュもありました)、
水着から水を滴らせて陸上ダッシュをさせられる。妥協は一
切ない。
 だけど、各運動クラブが強いかというとそうでもない。
単に教育方針としてストイックさを追及していたのだろう。
 運動が苦手な男子はたまったものではなかったはずだ。適
当に力を抜いたとしても。
 
 私も適当に力を抜いて授業を受けていた。ただし、この期
間は手抜き云々ではなく、マジでヘロヘロだった。担当のG
先生の目には"著しい手抜き"として映ったことだろう。
 だから、秋のスポーツテスト(50mダッシュ、幅跳び、
1500走、ハンドボール投げ、懸垂)で学年10番だった私
の体育の成績はなんと"6"であった。
 さすがに10はないな、とは思っていたが、9でも8で
もなく、可もなく不可もない"6"とは、本当に驚いた。
 いっそ、4とか5の方が「お前の態度が悪すぎる」という
評価者の意思が明確でいいんじゃないかとさえ思えた。
 同じ学期の現代国語は期末テストで1番の成績だったらし
い(←これには自分でもビックリした。現国なんて基本的に試
験勉強しないし)が、授業中に推理小説を読んでいたのを取り
上げられたりしたので、これも10ではなかった。
 たしか評価は9で、国語のY先生は真面目だなと思ったも
のだ。体育のG先生はあからさまに6を突きつけてきたが、
Y先生はテストの点数を考慮したんだろう。でも、この生徒
に10はあげたくない、が8では憚れる、だから・・という
心境だったのだろう。(←勝手な想像です)

 話しは逸れまくってしまった。
 そういえば、ウチの陸上部でもプロテインを飲んでいる
先輩がいたなぁ。 


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読書ノート、ふたたび。: http://onlykiwi.seesaa.net/

読んだ本の題名と作者、それから読んでいた期間と出版元。
 このたった4つの情報を記しただけの簡単なメモ的なもの
が、ボクがかつて付けていた「読書ノート」の全容だ。

 いつの頃からか、せっかくの読書ノートをつけるのをやめ
てしまった。
 本を読むたびに、ああ、なんて思うこともあり、じゃあと
いう訳でふたたびつけだそうと思いたった。

 できれば、その読書ノートをつけることを勧めてくれた
きみこ先生に読んでもらいたくもある。

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*読書ノートの索引はこちら

  http://onlykiwi.seesaa.net/category/6437306-3.html


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