2008年11月20日

1998/Before The Game 第15回マイルCS in the best of

 ■Before The Text:運命の日の運試し。

 文中、脈絡もなく横浜高校の松坂大輔について触れてますが、果たし
て彼の指名権を得るのはどこの球団なのか。他人の人生に興味を抱いて
も仕方ないのですが、あれだけの素材にどの位の強い運気が宿っている
かには興味があります。ヤクルトが指名回避の模様で、西武・日本ハム
・横浜の1/3ならなんとかなるだろ。(なんとかしろ権藤)

ドラフトではとても印象に残るシーンがあってそれは86年のこと。
この年の目玉は亜細亜大:阿波野(現:横浜)でした。彼に大洋・巨人・
近鉄と3球団のウェーバーが入りました。籤引きは上記の順。
王貞治は結果から言うと確率1/2の抽選を外した訳で、当時巨人フ
ァンだったボクは、これを持って監督としての王貞治の運気を見放した
ものです。
対照的だったのは、もう一方の目玉、亨栄高:近藤を見事競合の中か
ら引き当てた星野仙一の第一声。「近藤!引いたぞ!!」男だねぇ。

タイプ的には異なるけど、首尾よく松坂を獲得した時の権藤監督のコ
メントが楽しみです。(今年は「よっしゃー」の人は松坂クジに参戦し
ないしな)


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■くいしん坊、万歳。

▼旅館の主人に紹介された夕食の場所は2つあった。「ここを右手に
下りていきまして最初の角を曲がりますと大きなホテルがございます。
その中にレストランが2つほどございます」Yシャツにニットベストと
いういでたちにも几帳面さが現れていた通りの説明だった▼「それから。
こちらを左手に上がっていきますとお寺さんがこざいます。その向かい
に定食屋が1軒ございます」右や左に曲がるべき所の説明では、必ずそ
の方向に当たる手のジェスチャーつきという丁寧さだった。ボクは何の
迷いもなく後者を選び、緩やかな坂を登っていった▼ここは山口県豊浦
郡川棚温泉。下関から山陰線で30分の鄙びた温泉街だ。出張でたまた
宿泊することになった場所である▼定食屋とボクの耳には聞こえたハ
ズだったが、そこは「ふじ寿司」というお寿司屋さんだった。元々夕食
を取るだけのつもりだったので手持ちは少ない。念のため確認してみる
と1万円ちょっとしか持ち合わせはなかった。しかし。これだけあれば
まったく問題ないだろう、松あたりを頼んでビールを飲むだけなのだか
ら。

▼8人も入れば一杯になるだろうカウンター越しに女将の姿が見えた。
大将ではなく女将の店なのか?「いらっしゃい!」と声をかけられ、そ
のカウンターの真ん中辺りに座った。少し視線を上げた先に暖簾が掛っ
ていた。その暖簾は明るい朱色で染められており、また店内にはカスミ
草や百合、菊の花が見受けられる。女将の店なのだろう▼ビールを注文
すると、60年輩の丸い感じの女将が「お飲みになられるんですね」と
言った。「ええ」と答える。「じゃあ、お通しを作らないと」とやんわ
りと口に出す。これから作るのかなぁと思いながら出されたビールを飲
んだ▼暫くすると、皿に円形状に盛られた刺し身が出される。お通しと
しては結構なボリュームだった。皿の中心に細く切られたコンブが乗っ
ており、小皿にはポン酢の中にもみじおろしと万能ネギが刻まれていた。

▼「これ何ですか?」と箸をつける前に訊ねる。女将は「河豚ですよ。
今朝いいのが入ったんでお出しします」と言う。フ・グ。「お刺し身に
コンブを巻いてそのまま召し上がって下さい。もし、お口に合わないよ
うでしたら、そちらのポン酢でどうぞ」▼河豚だ。お通しで河豚が出て
しまった。素早く頭の中で手持ちを確認する。確認も何も魔法のポケッ
トじゃないんだから、中身が増える訳もない。ボクの手持ちは1万1千
円だ▼なるべく動揺を見せない様に「河豚。河豚を食べるのは初めてだ
な。でも、これってTVとかで見るのと違ってますね」と言う。そうな
のだ。これが河豚と言われてもピンとこないぐらい、皿の上にはまるで
鶏の身を思わせる色で厚めに切った刺し身が乗っていたのだ▼「ええ。
これは**河豚(忘れた!)といって、貴方が知っている河豚とは種類が
違うのよ。身を薄く切るね、誰でも知っている河豚は高くてとてもお通
しには出せないわ」なるほど。お通しに出せる河豚ってことのなのだ、
この河豚は。

▼ホッとどこかで安心して箸をつける。口に入れると、コンブの塩味
がかなり強く感じられた。河豚の身はその見てくれどおり刺し身という
よりは肉に近い歯ごたえだった。味は実に淡白。だからコンブに合うの
だろう。ポン酢との相性も良かった▼女将によると、この川棚温泉の駅
向こうは漁港になっているとのことで、新鮮な魚が手に入るのだそうだ。
「お薦めは?」と聞くと「今日は鯛ですね」「食べたい」▼河豚とは好
対照に鯛は薄く切られて皿に盛られた。その歯ごたえは、一口食べれば
新鮮さが分かるというほどに、シコシコとしていた。鯛の身につけて食
べたワサビも生から卸したもので、これが鼻先に広がっていく辛さで実
によい。旨い。その言葉以外のものが見つからなかった▼個人的なベス
ト・オブ・鯛は、この鯛とこの店に捧げようと思った。(ボクは既にベ
スト・オブ・ハマチ、ウニ、マグロを決定しているのだ)

■「宙返り、何度もできる、無重力」

▼サブタイトルはご存知、2度目のスペースシャトル搭乗員として宇
宙に飛び出した向井千秋女史がシャトル内で詠んだ句である。NHK教
育での「NHK俳壇」(毎週金曜20:00放映)辺りでの評価を聞いて
みたいところだが、何とも脱力してしまう内容である(とボクは素直に
感じました)。NASDAももう少し知恵を付けてあげればいいものを▼
と、まったく関係ない話しから入ってしまった。シャトルからの連想で
思わず筆が滑ってしまったと言い訳してしまうのだが、ボクが続けた下
の句は「脱力しても、気付かぬ宇宙」というもの。こちらも酷いものだ。

 ▼レースの流れに乗り好位置につけ、直線早めに抜け出して頑張りき
ってしまう、というサラブレットが自分の好みとするタイプだ。これは
シンボリルドルフのレースぶりと一致するし、ルドルフと同タイプとは
言えないが、同じカテゴリーに属する馬として、ヤマニンゼファーやシ
ンコウラブリィを挙げることが出来る。それを逃げという形で捉えれば
サクラバクシンオーやサイレンススズカもこの範疇に入るだろう▼タイ
キシャトルは明らかにここに属する馬なのだが、彼に対する自分の態度
にはルドルフとは異なる温度差がある。これは単に個体の好き嫌いなの
だろうけど、思い当たるフシがなくもない。ルドルフのレースぶりは一
部に「強すぎてつまらない」という評があった。少なくともボクには
「弥生賞」でビゼンニシキを苦もなく捻った鮮やかな印象があって、そ
こから彼を見ているのでそういった意識はないのだ。シャトルのそうい
うレースぶりをキチンと見ていれば、きっと違う感情を持てていたとい
うことなのだろう▼このレースで彼に対する注文なんかひとつもない。
いつもどおりの力を見せてくれることを願うだけだ。馬券を買う際の自
分なりのポイントを挙げるならば、彼の最終追いきりのVTRを見て彼
の調子を見極めておくこと。時計自体は1番時計だったようだが、今回
彼には海外遠征帰りという制約がある。馬の本当の調子というものは一
介の競馬ファンには分からないものだから(疑えばきりがないので。例え
ばフランスでも馬なり調教だったのに今回は強めに追っいるのは何故?
とか)、自分の目で判断して馬券を買いたいと思うのだ。

 ▼タイキシャトルのことで心がざわめいたことがひとつある。彼がフ
ランスで出走した「ジャックルマロワ賞」のレーシングプログラムを
「有馬記念」で見せて貰った時のことだ▼ボクはまだ面識がないのだが、
この店の常連の1人であるYさんという方はシャトルの1口馬主である
そうだ。その彼が、当然のように、この夏フランスに行き、店へのお土
産としてレーシングプログラムを持ってきていた▼灯りの乏しい店内で、
フランス語で印刷されたレーシングプログラムに目をやった。(ほとん
ど読めやしない)「ジャックルマロワ賞」のページには確かにタイキシ
ャトルのスペルが見え、大樹レーシングクラブの勝負服のイラストが描
かれていた。コースの簡単な見取り図もあり、1600m戦は一直線で
あることが示されている。ラジオたんぱの実況アナウンサーが「山手線
でいえば、秋葉原から東京駅間の距離ですが」などと喋っていたことを
思いだし、その時にこのコースを彼は走りそして勝ったのだと、改めて
彼の快挙を思った。凄い。

 ■素直に、相手探し。

 ▼頭ひとつ抜き出た実力馬が登場した場合、おおうにしてレース結果
(2着)が狂う時がある。これは対抗馬が本命を負かしにいって、伏兵が
漁夫の利を得るというパターンになるからだろう▼しかし、タイキシャ
トルが勝つレースは不思議なことにそれなりの実力を持った馬が2着に
くるケース多い。(配当は馬券を買うファンが作るものだから別にして)
昨年の「マイルCS」でのキョウエイマーチ、「スプリンターズS」の
スギノハヤカゼ、今年の「安田記念」のオリエンタルエクスプレス(外
国遠征馬の評価は難しいけど)▼このレースは素直に実力馬を評価して
みる。実績ということでは、実際にG1を勝っているシーキングザパー
ルとキョウエイマーチ。更にこれまでのキャリアは乏しいが、その内容
から強さが伝わってくるシンコウスプレンダがその候補だろう。

▼先週「エリザベス女王杯」を制したメジロドーベルとともに、昨年
の4歳牝馬戦線を引っ張ってきたシーキングザパールとキョウエイマー
チの今シーズンの戦績は好対照だ。昨年のこのレース以降、好走したた
めしがないキョウエイマーチに対して、喉の手術から復活したシーキン
グザパールは復帰戦の「シルクロードS」をモノにし、フランスG1
「モーリスドギース賞」をも制してしまった。勢いは明らかにシーキン
グザパールにある▼一方のキョウエイマーチ陣営の巻き返しへの意欲は
並々ならぬものがありそうだ。前走つけたブリンカー、坂路からウッド
コースへの調教パターンの変更、更に松永幹夫から若い秋山真一郎への
手替り。打てる手は全て打って結果を導きたいという気持ちが伝わって
くる▼キョウエイマーチは黙っていても調教では好時計を出してくるタ
イプの馬なので、ウッドコースでの早いタイムの最終追いきりには好感
触を受ける。しかし、幾ら馬主の意向とはいえ騎手の乗り替りはどうな
のだろうか?彼女は行ききるタイプの逃げ馬(=ハイラップで飛ばして
最後まで踏ん張る=好み)だが、そこら辺りの手綱の感触を松永幹夫は
よく掴んでいたハズだ▼今回はマウントアラタという一介の逃げ馬が新
人:太宰啓介とコンビを組み出走してくる。恐らく太宰は「逃げろ」と
いう指示を忠実に守るだろう。2年目の秋山はなかなか光る騎乗を見せ
てくれるが、G1のこの舞台で強弱を含めた実戦での逃げの駆け引きが
出来るだろうか。野村師はそういった駆け引きの勉強が出来る場だと捉
えた上で「マウントアラタがいてもハナを切れる」とコメントしている。
発言が剣幕でなければ、秋山への指示は間違いなく「逃げ」だろう。マ
ウントアラタとやりあってハナを奪ったとしても、今のキョウエイマー
チにそこからの直線での踏ん張りを期待するのは少し可哀相だ。去年の
強い頃のイメージのレースを今年はまったく見せていないのだから▼相
手とペースを見極めながら、2番手から抜け出すという戦法の方がボク
はいいと思う。そしてそれを、それ以上の乗り方を望めるのはやはり松
永幹夫しかいない。とは言うものの、実際に秋山真一郎が手綱を取る以
上、馬券を買う買わないは別にして彼の乗り方には注目しておく。

▼シンコウスプレンダが一昨年の「新潟3歳S」に1番人気で出走し
てきたことはすっかり忘れてしまっていた。3着:シーキングザパール、
5着:メジロドーベルの方への印象が深い。その後僅か4戦、通算7戦
のキャリアしかない彼だが、前走の「京成杯AH」での末脚は見所があ
った。厩舎の期待度をその発言から推し量れば「まだまだこれから(先
がある)」とも受け取れる。基本的にはここでも好走できる器だろう▼今
週の新聞を読んでいると、日仏のG1を制しているシーキングザパール
より、この秋の上がり馬としてのシンコウスプレンダの評価が高そうな
感じを受ける。それはさもありなん、なのであるが▼シーキングザパー
ルのことを主戦騎手である武豊がこう評していた。「短距離なら基本的
に守備範囲なんですが、1200mでは少し短くて、1600mでは少
し長い。その中間距離で1番力を発揮出来る馬」だと。彼女が制した仏
G1は1300m戦。なるほど当代随一の騎手は上手いことを言うもの
だと感心した。しかし、それはその守備範囲内であるならば、条件さえ
合えば戦えるということの裏返しでもないだろうか。ある程度の早いペ
ースでレースが流れて、末脚が発揮できる馬場状態であること▼マウン
トアラタ、キョウエイマーチは速いラップを刻んで逃げる馬だ。京都競
馬場の芝の状態は過不足ないとまでは言えないが、当日良馬場発表であ
れば、泣き言は言ってられないだろう。ましてや、これまでのレースで
見せているように、彼女はある程度の自在性があるのだから。(フラン
スでは先行していたし、日本のレースでも中団につける脚は持っていて
後方一辺倒ではない)▼シーキングザパールにしても海外遠征帰りとい
うハンデがあるが、それは最終追いきりで判断すればいい。彼女をタイ
キシャトルの相手に取りたい。シンコウスプレンダは3番手評価となる
が、印的にはもう一つ下げてみる。それはタイキシャトルから馬券を買
うには手を広げるのは得策ではないことがまず1点。そして、今週の
「週刊競馬ブック」の「話題の馬を追って」に書かれていた、まだ馬が
若い点を今回はマイナスポイントとしたからだ▼陣営の期待値は高いが、
ここはひとつの試金石のようだ。一気に頂点に駆け上れるのかもしれな
いが、人気を背負う分、嫌ってみる。

■意外性に富むレースになったのなら。

 ▼馬がひしめくインコースのハズなのに、何故かそこをスルスルと抜
けてきたり、勝負が決まったと思った頃に大外から飛んできて、結果を
変えていく。「なんだ」と気付くと、そこにはオースミタイクーンと武
幸四郎の姿があった。それまで重賞では芽が出なかった彼を変えたのは
武幸四郎の力だろう。これだけこのコンビで結果を出すとそう結論する
しかない▼昨年度のJRA各賞の表彰パーティーで兄:武豊が弟に手向
けた言葉は、ジョクーク混じりの「賞と名のつくものがコレ(新人賞)だ
けで終わらないように」というものだった。武幸四郎の今年の勝鞍はこ
こまで27勝。決して少ない勝ち星ではないが、同期の秋山や新人の池
添、太宰には僅かながら遅れを取っている▼今年、武幸四郎の目立った
活躍はない。兄の言葉が洒落で済まされない方向に向かっていくかは、
まだまだ先のことだが、ここらで一つ目の醒める様な騎乗が欲しいのも
確かだ。

 ▼オースミタイクーンは、武邦彦調教師がその仕上がり具合を「泣い
ている」(不十分)ように、調教量の数字からは万全とは言えない状況と
思える。しかし、意外性が武幸四郎とコンビを組んでからの彼の持ち味
だけに、出てくる限りは常にマークしたい馬だ▼ビッグサンデーはG1
では力が足りないが、それ以外のレースなら勝ちきれるタイプとボクは
評したい。が、オースミタイクーンは似ているようで違う。彼はどのレ
ースでも安定感には欠けるが、嵌まればどんなレースでも好走できる期
待感(それが追い込み馬の魅力なのだが)を備えていると思うのだ▼そう
いった部分と何年も前からレースを見てきたという馴染みで、少々馬券
を買ってみたい。

■結論としての印。

 ◎タイキシャトル  (無意味に逆らいはしない。一歩引いた位置で観戦)
 ○シーキングザパール(条件さえ揃えば安定した能力を発揮できると判断)
 △シンコウスプレンダ(マイルの新興勢力。いきなり駆け上がる可能性も)
△キョウエイマーチ (陣営の作戦に全て賛同出来かねるが、底力に期待)
 ※オースミタイクーン(調教本数足りないかもしれないが意外性に賭ける)

 ▼タイキシャトル、シーキングザパールの追いきりVTRを見てから
の最終決断とするが、基本線はこの両頭の1点で▼同じく最終追いきり
やパドックでの状態を見てオースミタイクーンからこの2頭への馬券は
少々買ってみたい。武邦彦調教師は「出来」に関して泣いているが、意
外性という点ではこの馬は現役最右翼だと思う▼そしてキョウエイマー
チ。彼女も同様の処置を取る。もし「いいな」と思えたらボクのことだ、
彼女から行くこともあるだろう。

■一夜一会。

▼店の奥では宴会が行なわれているらしく、女将はそちらへ顔を出し
ていた。1人で日本酒をチビチビやっていると(とうに腰を据える気に
なっていた)、新たな客がやってきた。既に大分飲んでいるらしく、足
取りは覚束ないし、口からは涎が垂れているぐらいだった▼座敷から戻
ってきた女将はその客に気付くと「あら、Kちゃん、いらっしゃい」と
にこやかに対応し「また今日も大分飲んどるのね」と言った。(ここだけ
ボクは女将が喋った言葉の違いを覚えている。他のものは標準語に直し
てます)

▼Kちゃん。この60歳すぎと思われるおじさんはそう呼ばれた。呂
律が回らない上、地元の言葉で喋るので、ボクは半分も理解出来なかっ
たが、Kちゃんは漁師であるらしい▼短く刈り揃えた髪に白いものがポ
ツポツと混じり、後退しつつある額には深い皺が刻まれている。しかし
鼻筋は通っており、今は目がトロンとした感じだが、しゃんと大きく見
開いたならば、なかなかイイ男に違いなかった。グラスを持つ手(Kち
ゃんは焼酎を飲んでいた)は異様に分厚い。そして54歳というのがK
ちゃんの正確な年齢だった▼そうは見えない。もう酔っ払っているのだ
から、ボクの動揺など気付くハズもないだろうが、なるべく平然とした
風を装った。

▼ふじ寿司はここに店を開いて33年になるボクと同じ歳の店だった。
そして、Kちゃんは開店当時から通っている常連だという。「偏屈でね
ぇ。でもね、根はイイ人。真面目。お酒が好きだから飲んじゃこんな感
じになっちゃうの。だから・・・」なるほど。だから、Kちゃんはここ
に通って来るのだろう。この店ではちゃんと受け入れられるのだから▼
「寂しいのよKちゃんは。ずっと1人もんでね」また新しい客がきた。
ボクはひとつ席を移動した。いや、この際だ。Kちゃんの隣りに座ろう。

▼川棚温泉に来る前、乗り換えに時間があったので下関を散策した。
散策する時間が完璧にあった訳ではないので、方向を絞った。白石正一
郎の旧宅、高杉晋作終焉の地に行くか、日和山公園に向うか。ボクは後
者を選んだ▼公園に続く道は急な階段が延々に続く。息を切らし汗を掻
きやっとの思いで登りきると、今度は一転眼下に関門海峡を望むことが
出来るのだ。学生の頃、萩から長府、小月と廻り最後にここ下関を訪れ
た。日和山公園には高杉晋作の象像がある▼記憶よりかなりこじんまり
とした公園に変わらず彼はいた。(公園の脇の新築工事中の世帯主が
「毛利」と記されていたのは出来すぎじゃないかと思うが)晋作さんは
関門海峡を眺めている。彼が死守した彦島は右手の方向にあるハズだ。
ここが欧米の租借地になっていたら・・・▼ボクは下関の風景を、彼と
同じ位置で眺めた。台座に登ったのだ。右の方に細長くて天辺に球状の
ものを抱えたタワーが建っている。アレは一体何だろう?。正面には広
がる海。あの下にトンネルがあるのか。更に視線を移す。左手に架る橋。
関門橋だ。ボクが小倉競馬場で一番好きなレース「関門橋S」。その先
はもう九州▼ここは九州、博多圏なのだろうなと思った。

▼Kちゃんは下関商業から西鉄ライオンズに進んだ池永の話しをしだ
した。アレは球が速かったという。そうだ、ボクもそれは知っている。
知っているけど、見たことはない。文字で読んだだけだ。池永は郷土の
誇りだったのだろう。もう30年以上も前の話しなのに、こんなところ
で突然その話しが出てくるのだから。左腕を吊って投げていた写真が脳
裏に蘇る▼関係ないけど、横浜高校の松阪大輔が本当に今後も輝ける運
命にあるのならば、4球団競合でもベイスターズに入れるとボクは思っ
ている。今度のドラフトは今後の彼の運命を図るには格好の機会かもし
れない▼なぁ、ヒトシ。Kちゃんが言うには、下関商業(多分ね。言葉
がよく聞きとれなかった)からもう1人、スラッガーがいてタイガース
に入団したそうだ。知ってるか、そのスラッガーの名前。

▼河豚の焼き物の後のつまみは握りにして貰った。お任せってヤツだ
▼海老は生け簀で泳いでいたばかりのもの。トロは脂が乗っていて文字
どおりトロけるようだ。鯛はベスト・オブものだから言うに及ばない。
そして、穴子の柔らかさと甘さが絶品だった▼「うまい」とボクが誉め
ると、女将は「それいつも間違えられるけど鰻なのよ」と言う。これが
鰻?「脂を抜いてあっさりさせてるけど鰻よ」う〜んと唸りながら、大
ぶりな穴子の握り(←ホラね、まだ間違えている)をもう一口箸でつまむ。
そう聞くと、今度は鰻の味がしてしまうのだから、ボクの舌もいい加減
なものだ。でも旨いものは旨い。

 ▼一期一会。偶然の必然。色々言葉は浮かんでくるけれど、結局ボク
はかなり長い時間「ふじ寿司」に居た。Kちゃんは30分前に女将が呼
んだタクシーで帰っていった。もう11時だった。明日は9時から仕事
だ▼お勘定をして貰うと、僅かだったが手持ちを越えてしまった。10
00円オマケして貰って、ボクは手ぶらで旅館に戻ることになった。実
はもっと勉強して貰っているのだろう▼真っ暗な道を月を見ながら歩く。
少し寒い。酔っぱらっていたこともあるけど、それは心地よくもあった。
もし、暑かったとしてもボクは同じ感情を抱いていただろう。ベストに
は絶対に必要な感情だった▼旅館の玄関は既に閉められていた。暗闇で
よく見えないのだが裏口もなさそう雰囲気。困ったな、ボクは浴衣に丹
前、下駄という格好で、何も持っていないのだ▼下駄をカラカラいわせ
て、今来た道を引き返した。「ふじ寿司」の暖簾をこんなに早く再びく
ぐるとは思わなかった。「ボン、どうしたの?」「いや、旅館の玄関が
閉まってて。電話番号分かります?」▼女将は旅館に電話を入れてくれ
た。何のことはない。旅館の広い玄関の左から2つの目の扉には鍵はか
かっていなかったのだ。ボクはまた緩やかな坂道を下っていった。


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ラウンジ有馬記念:http://onlykiwi.seesaa.net/

 かって渋谷に「有馬記念」という競馬バーがあった。
 2階へと上がる階段にひかれた赤い絨毯が、勝手にこころの
敷居を高く感じさせていた。
 だが。1度思い切って店に入ってしまうと、そこは競馬ファン
にとって至福の場所であった。

 ここは、バー「有馬記念」へのリスペクトから、その名を冠した
競馬予想のページである。

因みに最近オープンしたヤマダ電機 LABI渋谷は「有馬記念」の
跡地に建っている。

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posted by onlykiwi at 18:14| 東京 晴れ| Comment(2) | TrackBack(1) | NETJRA2(過去の競馬予想) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
西鉄ライオンズの池永投手の名前が出てきましたね。私と同年代で大ファンでした。
懐かしいブログ有難うございます。
今後も拝読させていただきます。
Posted by 笑う生活日記 at 2008年11月30日 18:29
おはようございます。はじめまして。
自分は世代的には池永正明さんを文字で読むしかないのですが、その文字を
読むだけでも"すげえな"と思ってしまうので、現役時代を知る方々が強い印象
を持たれていることはずっと想像していたことでした。Kちゃんが突然池永の話し
をしだしても、そりゃ地元の英雄だもんと思えたものでした。左胸にシンプルな
Sのユニフォーム、この春に下関商業が甲子園に出てきたとき、思わず応援して
しまいました。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by onlykiwi at 2008年12月01日 07:22
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